今日は出勤日。明日は祝日なので、飛び石での出勤となる。生徒も今一つ集中しきれてへん感じ。なるべく動画を多く見せたり、小テストをしてみたりと工夫はしているのですがね。今日の授業は特別教室。まだうまく使いこなせないんで、間延びする瞬間があったりして、その「蟻の一穴」から生徒の集中力が切れてしまう感じ。坂道の学校では逆に生徒よりこっちの集中力がもたないというところやったから、どちらにしても大変です。
水曜の定休日は時間割変更で火曜日の授業が入っているので、自習課題を作成し、教科主任の先生に預けておく。定時に退出。午後から強めの雨が降っていたけれど、退出するころには小雨に。乗換駅で書店に寄ったりし、地下鉄から出たら駅前の本屋さんで妻に「月刊フラワーズ」を買うたりと寄り道をして帰宅。
帰宅後、社説のダウンロードなどをしてから読書。夕食後、読書の途中でまた寝落ち。明日から休み、飛び石出勤をし、と、なかなかリズムが一定しませんな。
今村翔吾「塞王の楯 上・下」(集英社文庫)読了。主人公は、越前の朝倉氏落城で家族を亡くした飛田匡介。石垣づくりの達人、「塞王」の称号で呼ばれる源斎の養子となり、その石の「声」を聴くという才覚をもとに次期「塞王」と目されるまでに成長する。しかし、豊臣の天下で石垣組みの仕事は激減。そんな中、大津城の石垣の修復をきっかけに、京極高次とその妻、初の人柄にひかれていく。匡介のライバルとして火縄銃つくりの達人、国友彦九郎が登場。こちらは次期「砲仙」と目される。石垣という楯と、銃や大筒などの矛のどちらが強いか。秀吉の死後、徳川家康の東軍と石田三成の西軍が激突。東軍についた京極高次の依頼で匡介は大津城に入り、立花宗茂と国友彦九郎が率いる攻城軍は、死闘を繰り広げ……という話。一芸に特化した職人同士が繰り広げる矛と楯の対決が中心となり、戦のない世を作るために戦うという「矛盾」を、そのプライドをかけた死闘で表現している。特に物語の後半(文庫では下巻)の大津城の攻防戦の迫力は一気に読み進めてしまうほどの迫力。さすが直木賞受賞作。主人公とそのライバルの描写が優れているのはもちろん、ここでは彼らとともに戦う武将、柔の京極高次、剛の立花宗茂の対比も見どころのひとつ。特に、自分の力では光らない「蛍大名」とさげすまれている京極高次の、実は分をわきまえ、領民の生活を第一に考える人柄と、闊達で飾らないお初の方が主人公たちをひきたてている。作者は有名な武将たちよりも、その陰に隠れがちになる人々にスポットを当てて描く達人なんやけれど、本書では石垣職人と鉄砲職人という戦国の裏方の戦いを前面に押し出して成功している。本格歴史小説の旗手として、今後も活躍してほしい作家のひとりであることを確信させる作品でした。いや、面白かった。
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