試合終了後は読書の続き。とうとう読了。それから社説のダウンロードなど。
キャロル・オコンネル/務台夏子・訳「クリスマスに少女は還る」(創元推理文庫)読了。州副知事の娘のグウェンと、ホラー映画マニアのサディーが誘拐される。この町では以前にも小児愛好の変質者によりクリスマス前に二人の少女が誘拐され、囮の少女が先にすぐ殺され、狙い目の少女はクリスマスに死体となって発見される事件が何度も起こっていた。刑事ルージュは双子の妹を殺され、そのあとプロ野球の選手になったりしてから警察官になった。妹を殺したとされる犯人は服役中。しかし繰り返される誘拐殺人に対して執念深く捜査を続ける。また、顔に傷のある心理学者アリも小児愛好者の心理の専門家として捜査に協力。これまでと同じく二人とも殺されると思われていた事件だったが、実は二人は生き延び、脱出を計画していた……という話。過去の少女殺人事件、現在の誘拐事件、登場人物たちの入り組んだ関係、そして少女たちの懸命な脱出計画と、複数の要素が絡み合い、物語に深みを与えている。最初は読み手もこれらの関係を読み解くので手いっぱいになるような展開なんやけれど、次第にそれが一つの方向に収束していく。この展開が非常にうまい。特に、脱出を計画する少女たちの姿には手に汗握らせる緊迫感がある。そして予想外の結末には思わずうならされ、カギとなるのはどこにあったか、何ヶ所も読み返したくらい。厚手の文庫でじっくりと読むと時間がかかったが、それに見合った読みごたえがあった。作者には「女刑事マロリー」というシリーズもあるというので、そちらも読んでみたくなる。本格ミステリにしてサイコスリラー、少女たちによる冒険小説と、読み方でいろいろな側面を楽しむことのできる贅沢な一冊でありました。
4月20日(日)は「たちよみの会」例会です。今月も13:00~15:00の短縮バージョンです。ご参加お待ちしています。
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