肝心なところは覚えてないんですねえ。犯人やとか動機やとか。読んでいて覚えていたのは「第一の殺人の凶器」「第二の殺人の被害者」「第三の殺人のダイイングメッセージ」だけですわ。おかげで新鮮な気持ちで読めました。いやあ、ドルリー・レーンって腹黒い探偵ですなあ。
それにしても、自分の記憶力に感心するのは、30年ほど前に一度だけ読んで再読もしてへんミステリやのに、断片的ながらけっこう大切なところを覚えていることですな。あの時は新潮文庫版で読んだんやったっけ。「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」「最後の悲劇(角川文庫版のみこの表題。他は「ドルリー・レーン最後の事件」であります)」の4部作を、なぜかすべて別々の訳者の文章で読もうと、「X」と「Z」は新潮文庫、「Y」は講談社文庫、「最後」は角川文庫とばらばらに集めたのでした。そんなことばかり覚えててどうするか。小説の内容を覚えとけや。
というわけで、どうやら角川文庫の新訳は4部作すべて出す予定みたいなので、今回は全部同じ訳者でそろえて読もう。現時点では「X」「Y」の2作まで出ているけど、「最後」は角川は前の時と同じく「最後の悲劇」と「悲劇」でそろえるのか現代に忠実に「ドルリー・レーン最後の事件」とするのか、それもまた楽しみです。
ちなみに角川文庫版の「国名シリーズ」は「日本庭園の謎」みたいになんか微妙に違う邦題をつけていたよなあ。なんか理由があったのかしらん。
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何せレーンが事件に参加した理由は、知的好奇心からでも、正義感からでもなく、当人曰く「操り人形の糸を引く存在になりたいから」だそうです。神気取りの怪しからん奴です。
角川版の国名シリーズは確かに「フランス・デパート殺人事件」とか、「ギリシア棺謀殺事件」など微妙に意訳でした。結構色々な出版社から出ているものですね。
いろいろな翻訳を比べて読む楽しみがもっとあっていいと思います。