2015年10月28日

生頼範義の死

 昨晩は多少は熟睡できたらしく、眠気に襲われることは少なかった。今晩からまた諸般の事情で妻は実家泊。さて、明朝の寝起きは如何。
 イラストレーターの生頼範義さんの訃報 に接する。享年79。死因は肺炎。
 ハヤカワ文庫JAの初期から日本作家の文庫カバーを多く手掛け、特に角川文庫での小松左京さんの作品、平井和正さんの作品で何種類も印象に残ったものがある。「SFアドベンチャー」の表紙も長年手がけてはって、私は「SFアドベンチャー」で書評家としてデビューしただけに、特に印象が強い。
 それにしてもカバー画だけでも何枚あるんやらというくらい数多く残してはる。速く描けて、しかも迫力のある画風やったから、依頼も多かったんやろう。妻とも話していたんやけれど、小説のカバーや挿画の場合、作品をちゃんと読まんと絵がかけんやろうから、文章を読んで内容を把握し、自分のものにするのも速かったということなんやろうね。
 独特の画風で、勢いと、写実的な部分と、デフォルメした表現がバランスよく表現されていたと思う。私の好きなカバー画は、小松左京「日本アパッチ族」「ゴエモンのニッポン日記」(どちらも旧版)、平井和正「狼の紋章」「アンドロイドお雪」など。まだ画風が確立される前のものやね。
 SFアートの世界に一時代を築き、まさに生頼ワールドといえるものを確立しはった、その功績は大きい。特に、あの迫力や色使いはなかなか真似ようとしても真似られんものやないかなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。
posted by 喜多哲士 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 追悼 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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