モノクロ用に撮影された特撮、あるいは本編の陰影が、カラー化したことによってその映像美を半減させているような気がしてならんのですね。最初からカラーで撮影された「ウルトラマン」以降のシリーズは、カラーであることを意識して怪獣を作っているし、明るめのライティングで不気味さよりも面白さを追求しているように思える。
私は子どもの頃リアルタイムで「ウルトラQ」を見て泣いた記憶がある。どのエピソードかというと、なんと「SOS富士山」なのですね。大きくなってから見直して、どこが怖くて泣いたのか見当もつかんけれど、幼い私にはなぜかものすごく怖かった。
これはやはりモノクロの効果やなかったかと思うのです。実はアニメ「どろろと百鬼丸」の「どんぶりばら」も怖くて泣いたのを覚えている。あれもモノクロならではの不気味さやったんでしょう。原作の漫画を後から読むと、まるで印象が違うのでびっくりした。
モノクロ映画のカラー化というのは実験としては面白いけれど、モノクロやから出せる効果というものがあるので、むやみやたらにカラー化してはいかんと思うた次第。
さて、「ウルトラQ」でいえば、陰影美で見せたケムール人の回はカラー化でどう印象が変わるか、少し楽しみなような怖いような気分であります。
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私が一番楽しみにしているのは「あけてくれ」ですね。
あの異空間がどんな色で再現されているのか。
あの虚無感は現在にも通じるものがあると思いますからね。