2025年02月18日

地球の中心までトンネルを掘る

 今日も出勤日。寒い。そういう日に限って登校指導の立ち番やったりするんやからなあ。
 空き時間を使い、考査の解答用紙を作成。2コマ目の今年度最終の授業が終わり、残りの空き時間を使い、答案の印刷をする。幸いいつも混んでいる印刷機はすいていたので、午前中にすべて終了。
 午後は答案の正解の作成などをしてから、まだ評価をつけていないプリント類のチェック。これはまだまだ時間がかかりそう。
 いつもは印刷機が空くのを待って帰りが遅くなるんやけれど、今日はすべて完了していたので、定時に退出できた。
 帰宅後、読書の続きなど。夕食後、社説のダウンロードをしていて、途中で寝てしまう。目覚めてすぐに続きをする。疲れているんやなあ。ともかく明日は試験。採点にすぐかかれるので、あと1日、気合を入れていかんとなあ。
 ケヴィン・ウィルソン/芹澤恵・訳「地球の中心までトンネルを掘る」(創元推理文庫)読了。奇妙な味の短編集。表題作は、大学を卒業したけれど何をしていいか決まらない学生3人がなぜかひたすら穴を掘り始める話。穴を掘っているうちにその生活が日常になっていくんやけれど、その日常と本来の生活に引き戻されるあたりの描写がなんとも不思議な空気を生み出している。他には代理の祖父母業なる不思議な仕事で複数の「家族」と接する女性が主人公の「替え玉」、母親の遺産を手に入れるために必死で折り鶴を折る息子たちを描く「ツルの舞う家」、クイズ競技でペアを組む、他に友だちのいない少年どうしの友情と愛情がまじりあったさまが切ない「モータルコンバット」、やりたくもないチアリーダーをしながら、本当に好きなものを探す少女と、奇行で知られて孤立している少年の不思議な恋愛を綴る「ゴー・ファイト・ウィン」、ガラクタばかりが展示されている博物館の学芸員と数少ない常連観覧者である年配の医師との交流が描かれる「あれやこれや博物館」、最悪のケースを予想するという依頼を受ける仕事をする男の生活が語られる「ワースト・ケース・シナリオ株式会社」ほか全部で11編。いずれも、コミュニケーションを取ることが苦手か、あるいはコミュニケーションの取り方のずれに苦しむ人々を愛情深くとらえたものなんやけれど、その仕事の設定のずらし方が絶妙。突飛ではあるけれど、もしかしたらそんな仕事が成立するかもというすれすれの線で、その斜に構えた視点が絶妙としか言いようがない。切なく、ほろ苦く、しかし温かく、でもシニカルで、だからというて決して突き放し過ぎない作者の絶妙な立ち位置がなんとも言えない奇妙な味のもとになっている。こういう現実を少しずらして人と人のかかわりについて考えさせられながらも、後味が決して悪くない短編集はめったにお目にかかれんなあ。ちょっと前になんか気になって買うたんやけれど、まだまだそういうものへの私の嗅覚は衰えてへんと、ちょっと安心。日常生活で対人関係に違和感を覚えることのある人なら、きっと読んでいて琴線に触れる部分があるはずです。
posted by 喜多哲士 at 23:59| Comment(0) | 読書全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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