2025年02月19日

山本直純と小澤征爾

 今日も出勤日。考査初日の1コマ目が私の担当科目。2コマ目は試験監督。ばたばたと慌ただしく午前中を過ごす。とはいえ、初日の午後から採点作業に取り掛かれるのはありがたい。ただ、さすがに疲れていて採点の能率はあまりよくない。それでも1クラス分を採点。さらに2クラス目も1/3ほど進んだ。ただ、もう集中力が続かず、定時を少し回ったところで作業を打ち切る。実際、タイムカードの退出スリットを忘れかけて、一度校門を出てから気付いて後戻りし、スリットしたり、持ち帰るつもりやったものを忘れてたり。明日は定休日。サービス休日出勤なぞするものか。疲れを取らなあかん。
 帰宅後、しばらく寝床でぐったり。夕食後、寝床で社説のダウンロードをしていたけれど、途中で寝落ち。目覚めてすぐ、急いで続きをした。妻もかなりしんどそう。寒かったからなあ。
 柴田克彦「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)読了。まだ小澤征爾さんが存命中に書かれた本やけれど、昨年亡くならはったときに書店に平積みになっていたのを買うた。小澤さんは山本直純さんを「天才」と称していたという。本書では、日本人指揮者として初めて世界のメジャーオーケストラのシェフとなった小澤さんと、タレント活動などもしながら、クラシック音楽を日本の多くの人々に周知させた直純さんの強いつながりについて多くの人たちへの取材などをもとにまとめている。特に直純さんの「天才」ぶりを書き残しておこうという著者の意志が強く感じられた。実際、クラシックの深い技法を織りこみながら映画やテレビの劇伴で親しみやすいメロディを作曲しているし、テレビ番組「オーケストラがやってきた」では様々な角度からクラシックを各家庭のもとに届け、新日本フィルやN響などのファミリーコンサートではユニークな方法でクラシックの楽しさを伝えるという、八面六臂の活躍ぶり。私も同時代に直純さんの音楽を聴いて育ち(劇場版アニメ「どうぶつ宝島」の音楽は素晴らしかった!)、「オーケストラがやってきた」でクラシックを楽しみ(テーマ曲のヨハン・シュトラウスJr.「常動曲」を聴くと、いつもなんかわくわくしてくるのです)、赤いタキシードを着てダイナミックに指揮する姿が目に浮かぶ。タレント活動が目立ち、その「天才」ぶりが埋もれてしもうていることに対して著者は危機感を感じていて、それが本書をまとめる原動力となったんやろうと思う。私は山本直純「赤いタキシード」や岩城宏之「森のうた」などの本でテレビの中で見せる姿以外のいろいろな一面を知ってはいたけれど、本書で改めて示されると、そのすごさを再確認した。手元にある山本直純指揮の「ブラームス交響曲第1番」などのCDを聴きながら、もっと多くのコンサートの録音が残っていれば……と残念に思う。今後、若い指揮者たちによって山本直純作曲の楽曲がコンサートで取り上げられたらええのになあと思いながら、本書を読んでいた。そう、直純さんの作曲した曲をまとめたCDすら出てへんのですよ。山本直純再評価の機運が高まればええのになあと、思わせる一冊。あ、小澤征爾さんのすごさも書かれてます。ただ、小澤さんについては多くの人が記しているからね。そやから直純さんを中心にまとめた本書は貴重なのです。
posted by 喜多哲士 at 23:59| Comment(0) | 読書全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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