2025年03月19日

風神秘抄

 今日は先週木曜日出勤の振り替え休日。朝からゆっくり目に寝て、まだまだたまっているアニメを見る。昼前に少し寝て、昼食後、また午睡。夕刻起きて社説のダウンロードと読書。たいして変わらぬ毎日です。
 夕食時から録画しておいた大相撲春場所中継を見る。十両では草野が戦前の横綱武蔵山以来という新十両11連勝を記録。これまた楽しみな力士が出てきたものです。幕内では1敗の高安が霧島に完敗。いくら苦手な力士とはいえ、昨日までの勢いやったら勝てそうに思うたのになあ。結局今までと同様、優勝が見えてきたら意識しすぎるのかなあ。2敗で大の里と尊富士が並ぶ。明日は大の里と尊富士が直接対戦。いずれ来る「大尊時代」の前哨戦となるのか。12日目でもうこんなおいしい割りを組むかね。ああ、前売りチケットが取れなんだことがほんまに悔しい。来年の春場所は行くぞう。
 相撲を見終えた後は読書。今日は寝落ちせず。
 荻原規子「風神秘抄 上・下」(徳間文庫)読了。「勾玉」三部作と世界観を同じくする作品。舞台は平治の乱の直後。悪源太義平の郎党だった草十郎は笛の名手。平治の乱で敗れ去った主君たちの仇を打とうと京に入った草十郎は、白拍子の糸世と出会い、糸世の舞いと自分の笛の根が共鳴し、平家にとらわれた頼朝の命を助ける。後白河上皇の命で、上皇の寿命を延ばすために舞った糸世は、草十郎の笛の音に邪心が入ったことで神隠しにあってしまう。なんとしても異界から糸世を救い出そうとする草十郎の旅が始まり……という話。「薄紅天女」と同様、史実とファンタジーをうまく組み合わせ、独自の世界観を作り出している。特に、後白河上皇という存在の大きさと、それに対抗する草十郎、そして鳥彦王という自然界に君臨する鳥の王とのからみ。「勾玉」三部作でも舞台となった黄泉国を思わせる異界の描写など、精緻に織り上げられた構成には唸らせる。ただ、これは私の好みの問題でもあるんやけれど、物語が若い男女の恋を軸にしているので、せっかくの壮大な設定がなんか矮小化されてしまうように感じられてしまう。むろん、恋物語が軸であることを好む人には、世界のありようを賭けた恋という設定は心に響くんやろうけれども。
 作者の影響を受けたはずの「ソニン」や「八咫烏」が、恋物語の枠を大きくはみ出し、世界全体の物語になっているのは、ちょっと不思議かも。新装版で出たこの世界観の物語も残り1冊。恋物語の枠にとどまるのか、大きく世界が広がるのか、そこに注目しながら読んでいきたい。
posted by 喜多哲士 at 23:59| Comment(0) | 読書全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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